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2025.01.27
トップアスリートと学ぼう!:薬を使用する前のクリーンスポーツ行動
皆さんには、薬を使用する前に必ず行う行動や、気を付けていることはありますか?
スポーツをしている中でケガをしたり、季節の変り目で体調を崩してしまったりと、健康にスポーツに参加するために皆さんが薬を使用するタイミングはあるかと思います。
または、薬を使うのは1年にあるかないかで、元気にスポーツできています!という方もたくさんいらっしゃいます。
今回は、薬を使用する前にアスリートが行うべき行動を学びながら、「いざ」という時に慌てず、クリーンスポーツ行動がとれるようにチェックリストを作っていきましょう!
一緒に学ぶ 先輩アスリート
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室伏 由佳さん競技:陸上競技(ハンマー投・円盤投)
- 2004年アテネ・オリンピック大会 出場
- 2005年, 2007年世界陸上選手権大会 出場
- 2010年広州・アジア大会 銅メダル
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楢﨑 教子さん競技:柔道
- 1996年アトランタ・オリンピック 銅メダル
- 2000年シドニー・オリンピック 銀メダル
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楢﨑さん、今日は薬を使用する前にアスリートがとるべき行動、クリーンスポーツ行動を一緒に確認していきます。よろしくお願いします!
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よろしくお願いします!
「薬を使用する前」というのが、とても大切ですよね。
よくあるシーンをイメージしながら考えていきましょう。
我慢しない!スポーツをする時の不安がなくなるよう、しっかり治療をうけよう
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現役の時、合宿中に頭が痛くなってしまった時がありました。
普段は薬を使用することはあまりなかったんですが、合宿中に追い込んだトレーニングで筋肉痛になって、そこから頭痛になったり
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それはつらい!
コンディションが万全じゃないと、不安になったりしますよね。
しかも、合宿中という、ちょっといつもと違う環境だと緊張もあるし。当時、どうされたんですか?
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帯同しているドクターに相談して、薬を飲みました。
我慢して寝てしまうという選択もあったのかもしれませんが、朝起きてまだ痛かったらどうしよう、と不安を抱えたままでは充分に休息もできず、もっと大きなケガにつながってしまうこともある。
相談して良かったなと思います。
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アスリートが安易に薬飲んじゃおってなることは、ほぼ無いですよね。みんな、ちょっと慎重になる部分があって
でも、アスリートが「できること」ってあるんですよね。
アンチ・ドーピングはそもそもアスリートの健康を守るためのルールでもあるし。
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健康にスポーツに取り組むために、自分が「できること(権利)」をしっかりと理解することが、良い選択をする第一歩ですよね。
アスリートの権利を事前に確認しよう!
専門家への相談。必ず伝えないといけないことは?
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合宿にスポーツドクターが帯同して下さっていたのは、ラッキーだったと思います。
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日常生活の中で、体調が悪くなることもありますもんね。
そうしたら、自分で病院に行って色々と説明しないといけないし。
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慌てないアスリートはいないですよね
でも、適切な治療を受けるというアスリートの権利を正しく使うために、アスリートがやらないといけないこともありますね。
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まずは、自分がアスリートであることを伝えないといけないですね!
いつもユニフォームでいるわけじゃないから、自分で言わないと。そして、スポーツで禁止されている物質や方法ではないもので治療したいとはっきり伝えましょう。
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体調が悪かったり、初めて行く病院だと緊張してしまったり。
でもそこは勇気をもって伝えないと!
自分でうまく説明できるか不安だったら、JADAのホームページを一緒に見てもらうのも良いんじゃないですか?
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そうですね!一緒に確認すると安心ですね。
とすると、、、すぐにJADAのホームページ出せるようにしないと!携帯にブックマークしておいたり、研修会などでもらった資料を病院に持っていくのもありですね。
JADAのホームページをブックマーク
- JADAクリーンスポーツ・アスリートサイト
https://www.realchampion.jp/ - 医療従事者サイト
https://www.playtruejapan.org/medical-staff/
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お医者さんの中には、アスリートを診察するのは初めてです!という方もいらっしゃるかもしれないですもんね。
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言いづらいなぁと思うアスリートもいるかもしれませんが、自分自身を守るためにも、勇気をもって伝えてほしいです!
薬を一緒に確認! 確認した内容は記録に残しておく
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次は、治療に使う薬に禁止されている物質が入っていないかを確認します!
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これも、実際やろうとしたら「私ちょっとわからないです」となってしまう、不安を感じるアスリートも多いんじゃないかと思います。
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わかります!
禁止物質を検索できるGlobal DROというサイトがあることを知っていても、実際に今、処方される薬をどう調べたら良いの?って焦ってしまうかも。
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もう後は、お医者さんにお任せで! ってなってしまいそうな
でも、自分の体のなかに禁止物質が入らないようにするのはアスリートの責務(やらないといけないこと)ですから、やっぱり一緒に確認することが重要ですよね。
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薬によっては、使い方や、使う量で禁止かどうか変わるものもあるので、
Global DROの結果を正しく理解するためにも、一緒に確認することが、大切だと思います。
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Global DROは検索した結果を、自分のメールにも送ることができるんですよね。
アスリートが薬を確認した結果として記録しておくことも、薬を検索するのと同じくらい重要です。
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もしもアスリートがアンチ・ドーピング規則違反を問われたときには、自分はルールを守るために、行動をしたんだ!ということを証明する必要があります。
練習ノートと同じように、アスリートとしての記録として現役中はずっと保管してほしいです。
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まさに、アンチ・ドーピングも競技の一部!
自分のクリーンスポーツ行動を振り返って、だんだんと自信をもってできるようになると良いですね。
薬に禁止物質が入っていないか、Global DROで医療従事者と一緒に確認
家族、仲間、指導者 みんなで取り組むアンチ・ドーピング
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「身体に摂り入れるものに責任を持つ」と一言で表現しますが、実際にアスリートが行動する、責任を持つって、本当に大変なことだと思います。
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今回の薬を使用する前に何をしないといけないですか?
というのも、自分が具合が悪い時にやらないといけない。
「いつ体調良くなるかな」「試合までに間に合うかな」という心理の中で、やらないといけない。
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なぜアンチ・ドーピングが必要なのか?という質問に、自分自身の答えを持っていないと、いざという時に躊躇したり、遠慮しちゃう。
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アンチ・ドーピングの意義や、なぜ必要なのか、周りの人と話してみるのも大事ですよね。
「あ!そういう考え方もあるんだ」とか、自分の考えもより深めることができますね。あとは、「私はアスリートとしてこんなことを私はやらないといけないんです!」というのを、家族や仲間、指導者の方とも共有するのも良いんじゃないかと思います。
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良いアイデアですね!
ドーピングをしてやろうというと思っていなくても、色々な状況や、心理状態のなかでアスリートが危うい時があるかもしれない。そんな時に、周りの方の声がけってとても影響力がありますよね
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みんなでアンチ・ドーピングに取り組もうとする環境がアスリートがクリーンスポーツ行動を実践するための、重要なポイントですね!
そのためにも、ぜひアスリートからアンチ・ドーピングのことを周りの方へ共有、発信してほしいと思います。
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今回対談させていただいた中で出てきたチェックポイントを、<病院に行く前><病院に行った時>で整理しました。皆さんのクリーンスポーツ行動の実践にぜひ活用してください!
薬を使用する前のチェックリスト
普段からやること/病院に行く前にやること
- アンチ・ドーピングの意義や、ルールを周りの人(家族、仲間、指導者など)に発信したり、一緒に考えたりする
- JADAのホームページをブックマークする
- アスリートの権利、役割と責務を確認する
普段からやること/病院でやること
- 医師に「私はアスリートです。禁止物質、方法を使用しないで治療がしたいです」と伝える
- 使用する可能性がある薬を、Global DROで医療従事者と一緒に確認する
- Global DROの検索結果を保管、記録する
- 薬を使用して治療
- 健康にスポーツに参加