尿検査の手順(ステップ)
尿検査は、以下の手順で行われます。
検査に対応する際、検査手順についてわからないことがあれば、いつでも・どのようなことでも、DCOに質問することができます。
1.通告と移動
- DCO(またはシャペロン)から検査への通告を受けた場合は、DCO(またはシャペロン)の身分を確認する。
- DCOまたはシャペロンから、検査におけるアスリートの権利と責務に関する説明を受け、「通告書」に署名する。
- 速やかに検査室(Doping Control Station :DCS)へ移動。検査が終了するまで常にDCOが同行する。検査終了までDCOの視野の範囲で、DCOの指示に従う。
- 写真付き身分証明書(ID*)をDCOに提示する。
*ID:パスポート、学生証、運転免許証、競技会アクレディテーションカード(AD)など
注意!
- 正当な理由*がある場合は、DCOに理由を述べ許可を得て検査室へ行く前に必要な用事を済ませることができます。
*正当な理由:クールダウン、メディアへの対応、表彰式への出席、ケガの治療、自身の身分証明書を取りに行くこと など。 - 飲食する場合は、未開封であることを必ず自分で確認しましょう。自らの責任で管理、摂取してください。
- 飲料の飲みすぎには注意しましょう。尿検体の濃さが基準値を下回る場合があり、基準値を満たすまで何度も検体を提出する必要があります。
- 通告を受けてから最初に出る尿を、検査用に提出してください。
2.採尿カップの選定
- アスリート自身で複数の採尿カップの中から、1つのカップを選ぶ。
- 採尿カップの袋が未開封か、採尿カップやキャップなどに破損や汚れがないかを確認する。
- 検体採取の前に、水道水できれいに手を洗う。*石けんの使用は禁止!
3.尿検体の提出
- 同性のDCO立ち会いのもと、採尿。
*尿がアスリート自身の身体から直接出ていることをDCOが確認できるよう、上着の裾や袖をまくり上げ、ズボンや下着などはしっかり下げよう。 - 尿検体は、90ml以上が必要。
- 検体採取後の採尿カップは、すぐにキャップを閉め、DCOから見える位置に持ちながら検査室内の作業室へ移動。
▶18歳未満(Minor)アスリートの方へ
18歳未満のアスリートは、成人の同伴者を必ず帯同し、手続きが正しく行われているか一緒に確認してもらいましょう。
4.検体封印
- アスリート自身で複数のサンプルキットの中から1つを選ぶ。
- 選んだキットが未開封であることを確認の上、自分で開封。
- サンプルキットの中身を全て取り出し、破損や汚れがないかを確認。
- サンプルキットの箱の番号、同封されているボトル、キャップ、バーコードシールの番号が全て一致しているかを必ず確認。
- DCOの指示のもと、尿検体をBボトル、そしてAボトルに注ぎ、しっかりとキャップを締める。
- 採尿カップに残った尿を使い、DCOが比重(尿の濃さ)を計測。
90ml以上の尿検体 ➡ 1.005以上の濃度が必要
150ml以上の尿検体 ➡ 1.003以上の濃度が必要
* 上記未満 ➡ 追加で検体の提出が求められます
5.部分検体
尿量が基準(90ml)に満たない場合、「部分検体」として保管され、総量として基準の量に達するまで追加の検体採取を行います。
- サンプルキット及び部分検体キットを複数の中から1つずつ選び、破損や汚れがないかを確認。
- Aボトルに全ての尿を入れ、部分検体キットに同封されているキャップでふたをする。
- 全てのボトル、シールなどを箱の中に入れ、部分検体バッグに仮封印。
- 追加の検体提出のため、尿意を待つ。
- 再び尿意をもよおしたら、再度検体採取を行う。
- 仮封印した部分検体バッグの番号と公式記録書の自分の名前を確認し、開封や操作された形跡がないかを確認。
- サンプルキットを開封したら、Aボトルの尿と2回目以降に採取した尿を合わせる。
➡ 尿量が基準(90ml以上)に達した後は、通常の手順(4.検体封印~6.書類と同じプロセス。)
6.書類確認
- 検査の日より7日前から使用した薬やサプリメントを申告。
*申告すべきか迷う場合は、申告することを推奨します。 - ドーピング検査全体を通してのコメントがあれば、所定の書類に記入。
- 個人情報、サンプルキット番号、その他、記載事項に間違いがないことを確認し、公式記録書に署名。
- 検査書類のコピーを受け取る(ペーパーレスシステムの場合は、メールで受信)。
- 検査書類は競技を続けている間は、自身で大切に保管を。
注意!
- 薬・サプリメントの申告や検査に関するコメントは、海外での検査であっても、日本語で記入できます。
- 病気や怪我の治療を目的として禁止物質や禁止方法を使用する場合、治療使用特例(TUE)の申請が必要です。
- DCOはTUE申請を受け付けられません。
- 検査の通告を受けてから、検査を拒否したり、DCOを意図的に避けたり、DCOへの暴言や検体採取を妨害することはアンチ・ドーピング規則違反を問われることになります。